〔178〕笈ヶ岳 (1,841m)
2012年05月01日(当時62歳)
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  猿ヶ馬場山登頂後は五箇山の ”くろば温泉”で汗を流し、白山スーパー林道が使えないので、金沢経由の大回りをし、夕刻に中宮の自然保護センターの駐車場に入る。 今日、道間違いで登頂を失敗したと言う沼津からの66歳のジジーハイカーと情報交換をする。 焼き鳥を当てに缶チューハイを呑んで日暮れと共に就寝する。

石川県白山市中宮


    標高差:1,230m
累積標高差:2,035m
日本二百名山』 登山道が無く残雪期にしか登れないロングコースのマニアックな山。
Road Map  :北陸道を金沢西ICで下りて、R157を南下し、白山スーパー林道入口の中宮に向かう。
Route Map :自然保護センターの駐車場を基点に冬爪山〜シリタカ山〜笈ヶ岳をピストンする。
ウィキペディアより
  藪山で夏(無雪期)の登頂は極めて困難で、積雪期の限られた期間のみ登頂が可能である。
日本二百名山の中では登頂が難しい山の一つである。 一般的な登山道はないが、春先にこの残雪を
利用して、以下のコース登られることがある。
・石川県白山市の白山自然保護センター駐車場から冬瓜山、
シリタカ山を経由するコース・白山スーパー林道三方岩駐車場から県境沿いのコース・大笠山から県境沿いのコース。
(廃道化されている)
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駐車場 野猿広場 大岩 冬瓜山 シリタカ山 小笈 笈ヶ岳
4:47 5:09 5:54 :00 8:39 9:53 10:02
笈ヶ岳 小笈 下降点 冬瓜平 分岐 大岩 野猿広場 駐車場
10:24 −−− 11:09 −−− 12:03 −−− 13:41 14:04
トータル:9時間17分 (休憩時間含む)
下り:3時間40分(冬瓜平経由)
登り:5時間15分(冬瓜山〜シリタカ山経由)
下山3時間40分にて笈ヶ岳を終える
  登りたいと思ったこともないし、札幌の鉄人から誘われた時も俺には無理と断っていたが、栃木の山友が登ったのを知って急に行きたくなってしまった。 しかも残雪期にしか登れない山の三連ちゃんを消化出来た。 若い内(?)に困難な山を登ってしまえば、俺にも三百名山が完登出来るかも。 そんなことより、俺にはクリヤーな日本百名山を優先する必要がある。 今年中には達成予定であるが、こればかりは気合と根性だけではどうしようもなく、天気次第の運任せとなる。
今日の温泉
  帰宅するので汗を流さずに帰ってしまう手もあるのだが、カレンダー的には今日は平日。 夜間割引を使う為には高速道路を24時過ぎに下りる必要があり、時間が余ってSAで仮眠するだろうから、温泉に入っておく。
登山口に近い ”中宮温泉”は高そうなので見送って(実は500円だった)、”一の里高原ホテル”は営業していなく、次に ”かんぽの郷白山尾口”に行くが800円と高く、更に車を走らせて小汚い ”総湯 ピュア湧泉寺”を見付け入る。 入浴料450円なのに石鹸、シャンプーが無く、がっかりしたがお風呂自体は綺麗で源泉掛け流しで良い温泉だった。
自然観察路のトンネルを抜ける。 中は真っ暗であるが、フラットな
路面なので安心して歩けた。 ここでストックを忘れたのに気付くが、
取りに戻るのは邪魔臭いので無しで行く。 残雪歩きにストック無し
は辛いかも知れない。
明るくなった4時47分に ”蛇谷自然観察公園”の駐車場を出発する。既に数組のグループが出発された様である。 自然観察路を少し登った
地点から駐車場を見る。 トイレは水洗で綺麗だったが少し匂いが鼻に
付く。
早速、残雪が現れ、これを横断して行く。
自然観察路はここで通行止とされていたが、これを越えて進む。
落石対策のトンネルを抜ける。
対岸に見えている白山スーパー林道はまだ残雪が一杯残っている。
小さな沢を渡る橋が崩壊していた。 自然観察路の通行止はこれの
影響か?
周辺はカタクリの群生地となっていたが、
お花の写真は下山時に撮ることにした。
ジライ谷”を渡渉するが、水量多く、濡れた石に飛び移る必要が
あるのでかなりやばい感じだった。 登り始めにドボンはしたくない。
22分にて ”野猿広場”に着く。 ここが ”ジライ谷”であり、
登山口となる。 ここで休憩していた3人組みが出発して行った。
行き成り垂直に近いロープ場の急登となる。
写真のモデルを得られたり!と3人に付いて行く。
急登の連続。 この上で6人組みを抜かし、
その後、よたよたジジーを抜かす。
3人組みのペースが余りにも遅いので抜かしてしまう。
岩場にはフィックスロープが設置してあり普通の
登山道の感じ。
足掛かりの少ない岩盤をフィックスロープの助けで登る。
3山目にして、山らしい山に来ることが出来た。
”大岩”の左側を廻り込んで行く。
急登を登り続けること45分にて ”大岩”に着く。
大岩と言う名称がある訳ではないが、自分で勝手に呼んでいるだけ。
”大岩”の上側に登り振り返ると ”白山”への大展望が広がっていた。
この後、何度も ”白山”からの山並みを見ることが出来た。
残雪の無い所では薮っぽいが登山道はしっかりと付いている。
小枝を掻き分け進む。
残雪尾根となり振り返り、登って来た尾根を見る。
ゴォーーー”と言う音で前方を見るとリアルに雪崩が
起きていた。 カメラを構えた時には崩れ終わって
しまっていた。 雪崩の跡は何度も見ているが、
崩れ落ちるのを見るのは初めてだ。
この先のヤセ尾根を見る。
薮道の方が安心して歩けるが、そろそろ薮道は終ってしまう。
苦手とする雪面トラバース。
急登登りと違い、谷底が目に入ってしまうので恐いのだ。
2時間40分にて急登尾根が終わり稜線に出て ”白山”を見る。
ここら辺りに ”冬瓜平”への分岐があるはずであるが見付からない。
踏み跡を辿って行くと冬瓜山への登り道に入ってしまった。
これで冬瓜山、シリタカ山をエスケープする今日の作戦は失敗となる。
登って来た急登尾根を見る。 冬瓜山へはまだ取り付きであるが、
残雪急登だった。 急過ぎてここからは下が見えていない。
”冬瓜山”への登りで追い付いて来た
2本ストックのジジーに軽く抜かされる。
3時間13分にて ”冬瓜山”(1,628m)に着く。
ジジーは一通り景色を眺めると休憩せず、メモもせず、
写真も撮らずで先に進んでしまった。 一体何者だ!
”冬瓜山”へは岩登りとなる。
”冬瓜山”のテッペンから見た ”笈ヶ岳”。
ここから見る ”笈ヶ岳”はお世辞にもカッコ良いとは言えない。 それにしてもまだ遠いなぁー
ナイフリッジの先はスノーブリッジになっており、底が抜
けているのだ。 渡るにはスノーブリッジの真ん中に足を
置く必要があり、いつかは崩れるのだろうから
黒ひげ危機一髪”をやっている感じだった。
(後から考えるとこの下には板が渡してあるのでは?)
ナイフリッジは大したことはなかったが、この先が問題だった。
”冬瓜山”を振り返り見る。
ジジーを追って歩いている時に自分の踏み跡が情けないことに気が
付いた。 靴底のパターンは殆ど無い程磨り減っていたのだ。
そろそろ靴の買い替え時か。
薄曇りなのに ”白山”だけには常に陽が射して神秘的な感じがした。
先行するジジーと ”シリタカ山”。
私的にはこの写真の構図が大好きだ。
”シリタカ山”への登り。
3時間52分にて ”シリタカ山”(1,699m)に着く。
山頂標識は無いが360°の大展望が得られた。
”シリタカ山”のテッペンから ”笈ヶ岳”への縦走尾根を見る。
この斜面を下った所で冬瓜平への ”下降点”らしき踏み跡を見付けたる。
又々、苦手な長いトラバース路となるが、斜度が比較的緩いのと残雪が緩んでいるので恐さは少なかった。 トラバースの後は急登りとなる。
”シリタカ山”から鞍部に下り、登りの途中から ”シリタカ山”を
見る。 登山靴で滑り降りて来るハイカーの姿が見えた。 ”点の記”で見たのと同じ光景に感激、そんなこと出来る人が居るんだ。
残雪から残雪に渡る時に強烈な藪扱きがあり、それぞれが様々な
所を通っているので道が出来ていない。 適当に薮を扱いて行く。
急登を消化して穏やかな尾根筋に出る。 前方のピークは
”小笈”であり、これからまだ2つのピークが待っているのだ。
”小笈”手前で既に下山して来るハイカーが居た。 4時前に登山口を
出発したらしい。 ”冬瓜平”への下降点の情報を収集しておく。
”小笈”の奥に最終地の ”笈ヶ岳”が顔を出していた。
これを越えれば残すは ”笈ヶ岳”と思うと元気が出てくる。
5時間06分にて ”小笈”(1,800m)に着く。
後は目前の ”笈ヶ岳”を残すのみ。
下山者が来たので更に情報収集しておく。
左の方は登り時に抜かされた元気印のジジー、神奈川から来られた
66歳だとか。 俺と歳は変わらないが随分とジジーに見えた。
右の若い方は長野の飯田市から来られたらしいが、ほとんど話しせず
だった。 山頂で昼飯にして一緒に下山する。
5時間15分にて ”笈ヶ岳”(1,841m)に着く。
累計標高差2,035mはきつかった。
山頂からの北面の大展望。
”大笠山”(1,822m)以外にも ”口三方岳”、”大門山”等が
見えているはずであるが同定出来ていない。
山頂からの南面の大展望。 登って来た尾根筋、常に陽が当ってる ”白山”が見られた。
”白山”以外、同定出来ないのが悔しい。
山頂で22分食事休憩して3人で下山する。
ストックを忘れたおいらは下山がたつらいが辛かった。
アイゼンは誰も着けていない。 踵落しでザックザックと下る。
この急下り斜面では2本ストックが羨ましい。
靴スキーに挑戦するがストック無しでは1〜2mが限度、しかも
バランスを取るのに余計な力を使い、逆にしんどいことが判る。
この下の鞍部にも薄い踏み跡があったが、違う谷に行ってしまう
可能性があるので、登り返して確実な下降点に向かう。
緩やかだが、長い長い下りが始まる。
長い登り返しを消化して冬瓜平への ”下降点”に着く。
案の定、登り返しとなるが、大した登り返しではなく助かった。
トラバース気味に ”冬瓜平”に向けて下り続ける。
これだけ下ると登り返しが待っているのでは・・・
下山1時間39分にて登った時のコースに戻ることが出来た。
探して見ると古いマーキングがあったが、場所が判っていて
判るマーキングであり、これにはまず気付かないだろう。
ガスると何も判らなくなりそうな雪原を横切って行く。
踏み跡はあるが、”山毛欅尾山”(ぶなおやま)に向かっている
のかも知れないのでGPSで確認しながら進む。
登り時から気になっていた ”イワカガミ
は、なんで登山道の踏まれそうな所に生えているんだろう。 関西のイワカガミと
花姿が違う。
ジジーは相変わらず快調に飛ばしている。 2年前に大腸ガンを
手術して、その後、三百名山を目指す様になったらしい。
大岩付近でジジーが見付けた ”ヤママユ”のさなぎ。
ポカリも飲み干してしまい、足がヘロヘロになってきたので元気ジジーに付いて行くの止める。 怪我しない様にマイペースで下山して行く。
下山3時間17分にて ”ジライ谷”の野猿広場に戻る。
渡渉で対岸に飛び移った後、足がもつれて昨日に続いて一回転の
大転倒、幸いケガは無かったが、誰か見ていなかったかと恥ずか
しかった。 遅れて若者が下りて来たが見られてなかった様だ。
花名、判りません。 調べるのは邪魔臭いです。
今は通行止の自然観察路にはお花が一杯咲いていた。
観察路に広がる ”カタクリ”の群生地。
”カタクリ”の花は下を向いており、
花茎を矯正してから写真に撮る。
04/29 04/30 05/01
野伏ヶ岳 猿ヶ馬場 笈ヶ岳
2012年度の残雪山遠征
おいずるがたけ
2024年3月31日改定